parole Jouet

見たり聴いたり、嫌だったり素敵だったりな小品文

随想

緑化

暖かいねと笑う裕福な穏やかさがあった、おそらくひと月ほど前を思っては、汗でへばり付く服をはたはたと扇ぐ。バスを待つのにぼうっとしていると、風に吹かれて緑が次々と頭上から落ちてくるのが見える。ぱた、ぱた、と鳴るのが聞こえ、葉の重さを感じる。…

戯れ

しばし大人しくしようなどと思ってみたり、五月 その緑鮮やかなのを人は紅葉ほど喜ばない恨めしさに、別れ その錯覚から目を覚ました興奮と憤りに無の振りをし、あなたの声 君は台風の目だという言葉に笑む夜、昼間は夏を、夜には秋を、明日の雨を、ひたすら…

空白より

1、心情の大きな変化を確実な形に。 2、決めることを決めもせず都会への出陣のため切り詰めた生活を。 3、仲の良いわりに初めての対顔と、絡みのなかったわりに楽しく喋る良い心地。 4、泣くも笑うも一番の振り幅を好んだ場所で精一杯に。 5、亡くなった祖父…

うっぷん

鬱憤を溜めるのは得意でも吐き出すともう止まらないから溜めても出さないそれが理想しかし人がそうしていたら愛のある不愉快を感じる(好意のあることを前提に)なぜでしょうね、こういうことってありますよね、ああそうだねでも私はね、そうかそういう風にも…

温泉

三連休。私は温泉に訪れました。 ひどく寒い季節、雪の道にややもすると一生をここで諦念したいと願ってしまうのではと思われるほど、しかしその景色と心は賞翫に値するもので、落ち着かないのは旅の楽しい証拠。 二〇を越えれば時間の早くなる老いを笑い草…

イイスス・ハリストス

めりーほわいとくりすます 天皇のことを考えて過ごそうと思った23日にクリスマスを済ませ、水、木と、街のクリスマスに賑わうのに寂しさを感じずにはいられない帰路でありました。 クリスマスのイルミネーションに、店先にずっしり置かれた門松。繁華街のく…

旧臘

嬌声をあげそうなほど艶々としてしまった道路を走って行く車 冬の寒さで使う筋肉と防寒のために動きの鈍くなった身体、その身体は無関心に視線だけで恐恐と過ぎていく車のタイヤを見つめる 踏めば踏むほど、嘘みたい、一晩でこんなことになって、私はわたし…

新規私生活案件

文フリで懇親している方より、 書評サイトをお手伝いするお話を頂いた。 私は物を書いていると、 あちらへ行きこちらへ行き定まらず、あれもこれも頭に浮かび、 かと言って綺麗にまとめるつもりも端から無く、混迷を或いは前提としており、 〆るものがなんだ…

人人人○人

誰か休みの人があるとその日はいつもより優しくなる 穴埋めだろうか? その人の休むことで手持ち無沙汰になる時間のある人が 屈託を少し抱えつつも楽そうにすれば 私の勝ちです (勝ち負けなんてないのですが)

かっぱ

芥川の河童のはなしが綴られた著書を読んでいる。 電車はおよそ15分以上から本を読む。 三島の本が積まれたものの全てを読んでしまったので困っていたけれど、 今は積まれた芥川の最後の本をもう読みきってしまいそう。 電車の一時間は貴重でも、 読書はとて…